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ulikooo

2014年07月15日

さすが年寄りだけど」

翌朝。
どんな顔をして菜々美に会えばいいのか戸惑いながら登校した優馬だったが、学校はわずかにいつもと違う空気に包まれていた。

「何かあった?」
「あれ、優馬知らない? 昨日3年の岸田が死んだんだ。ヤバいかもって昨日言ってたろ」
後ろの席の高田が、ビッグニュースとM字額ばかりに早口で言った。
あまり岸田に好感を持っていなかったらしいことが、高田のその口ぶりでわかる。
優馬もそれは同じだったが、知っている人間の死は、やはりショックのほうが大きかった。

「……へぇ」
「でさあ、その放火したのが、この学校の生徒じゃないかって話があるんだ」
「まさか。放火かどうかもハッキリ分かってないんだろ?」
「放火だよ。ニュースとか見てないのか? 外に積んであった雑誌とかに火をつけて、わざわざ開いた窓から投げ込んだらしいぞ、犯人」
「それ、見てた人がいたの?」
「そこは現場検証ってやつだろ? でもさぁ、ちょうどその時刻に慌てて岸田の家のほうから逃げていく自転車の子供を見てた爺さんがいてさ。岸田の家を振り返りながらキョドって走って行ったんだって。顔も自転車の色もまるで覚「へえ……。それもニュース?染髮焗油
「これはバスケ部の先輩の情報。その爺さんと遠縁なんだって。ちょっと最近ボケ気味かもっておまけが付いてんだけど、なんかスゲエだろ。まだニュースにもなってない極秘情報だぜ」

高田は「本当に中学生だったらヤバイよな」と息巻くが、本当にヤバいと思ってる風には聞こえない。
高田だけでなく、教室中が何か妙な昂揚感で満たされていた。
決して岸田の死を喜んでいるわけでも、その放火という行為に賛同しているわけでもない。
ただ、非日常に触れてしまったときの素直な興奮なのだ。それが優馬にも分かる。

ふいに優馬の脳裏に、岸田に背中を靴で小突かれ、階段を落ちてしまったあの日のことが蘇った。
不思議と腹立たしさはもう湧いて来ない。代わりに、あの岸田はもうこの世に存在しないんだという無機質な事実だけが、奇妙な感覚として胸の奥に広がった。
あの目つきの悪い上級生の心臓はもう止まり、今度こそ本当にその生髮体は親族によって焼かれてしまうのだ。そう思うと、なんとも不思議な気がした。

告別式は明日らしいが、教諭たちは何かあわただしく会議に入り、その日の1時間目は自習になった。
誰もが落ち着きなく席を立ち、自習するものなど皆無だったが、それは別の意味で優馬も同じだった。
死んだ岸田の事とは関係なく、目が追うのは草太と菜々美の背中ばかりだ。
草太とは、今朝はまだ何も話をしていない。そしてもちろん菜々美とも。






Posted by ulikooo at 12:36│Comments(0)
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